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武蔵先生の面白い生き物紹介|ドジョウ ― 10本のひげと「腸で呼吸する」魚の本当の話

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武蔵先生の面白い生き物紹介|ドジョウ ― 10本のひげと「腸で呼吸する」魚の本当の話

武蔵先生の面白い生き物紹介|ドジョウ ― 10本のひげと「腸で呼吸する」魚の本当の話

2026/11/07

こんにちは、武蔵です。

 

「武蔵先生の面白い生き物紹介」、第4回です。第1回のブームスラング、第2回のヒョウモントカゲモドキ(レオパ)、第3回のフトアゴヒゲトカゲと爬虫類が続いたので、今回は淡水魚に転じて、ドジョウを取り上げます。

 

ドジョウは、田んぼや用水路にいる身近な魚です。でも身近なわりに、誤解も多い魚です。「ドジョウは腸で呼吸するから、水が汚れても、水が無くても平気」――そんなふうに思われがちですが、本当のところはどうなのでしょうか。今日のテーマは、10本のひげと「腸呼吸」の本当の話です。

※画像はイメージです

【ドジョウとはどんな魚か】

ドジョウは、コイ目ドジョウ科に分類される淡水魚です。学名は Misgurnus anguillicaudatus です。

 

野生では、日本の平野部の水田や湿地、農業用水路、泥底の流れの緩やかな小川などに全国的に生息しています。中国大陸や台湾、朝鮮半島にも分布する、東アジアの水田文化とともに生きてきた魚です。

 

体はウナギのように円筒形で細長く、泥に潜ったり岩の隙間に隠れたりする暮らしに合った形をしています。背中側は茶色に近く、暗色の細かい斑点がたくさんあり、腹側は淡い黄色です。尾びれの縁が丸いのも特徴です。体の表面は粘液に覆われていて、つかもうとするとヌルヌルと逃げられます。あの感触を覚えている方も多いのではないでしょうか。

 

食べ物は雑食性で、ユスリカの幼虫やイトミミズなどを主に食べています。繁殖期は5月から8月で、高水温の湿地や田んぼに移動して産卵します。冬になって水温がおよそ7度を下回ると、泥の中で冬眠を始めることが知られています。

【ひげは10本 ― 味を感じるセンサー】

ドジョウの顔で一番目立つのは、口の周りのひげです。その数、上唇から3対6本、下唇から2対4本、合計5対10本あります。

 

このひげ、ただの飾りではありません。ひげには味蕾(みらい)――味を感じる器官――があり、ドジョウはこのひげで水底をつつきながら、泥と餌を判別して食べ物を探していると言われています。目で見るのではなく、「味で探す」センサーなのです。濁った泥水の中で暮らす魚らしい、合理的な道具です。

 

ここからが飼育者・観察者目線の話です。実は、この「ひげの数」は種類を見分ける大事な手がかりになります。ドジョウ(本種)は5対10本ですが、日本で見られる他のドジョウ類のひげは3対6本、ないし4対8本のものばかりです。つまり、ひげを数えるだけで、その魚がドジョウなのか別のドジョウ類なのか、ほぼ判別できてしまいます。「ひげの数なんて」と思うかもしれませんが、観察の第一歩は、こういう地味な数え方にあります。似た魚同士の見分けは、色や大きさの印象ではなく、数えられる特徴でつけるものです。

【腸呼吸の本当の話 ― 補助席であって主役ではない】

次に、ドジョウで一番有名な話、「腸呼吸」です。

ドジョウは、ふつうの魚と同じようにえらで呼吸をします。そのうえで、水中の酸素が不足すると、水面まで上がってきて空気を吸い、その空気を腸を通して肛門から排出する、腸呼吸も行います。腸の内側で酸素を取り込む、魚としては珍しい仕組みです。

ただし、ここを正確に書きます。腸呼吸は、あくまで補助的な酸素の取り込み手段です。腸呼吸だけでは、生きていくために必要な酸素の量をまかなうことはできず、それだけで生き続けることはできないとされています。「ドジョウは腸で呼吸するから水が汚れても平気」「水から出しても平気」というのは、言い過ぎです。酸素の薄い泥水という厳しい環境で生き抜くための「予備の手段」を持っている、というのが正確な姿です。

この回では、過去の生き物紹介でも繰り返し書いてきたことを、もう一度書いておきます。生き物の「すごい能力」は、半分だけ切り取ると間違った話になります。「腸でも呼吸できる」は本当。でも「だからえらはいらない」は嘘です。図鑑の見出しの部分だけではなく、「ただし」の後まで読むことが、生き物を正しく知るための作法だと考えています。ちなみに第1回で取り上げたブームスラングの回でも、毒と食性について同じ教訓がありました。

【飼うと分かる、ドジョウの手強さ】

身近で穏やかな魚なので、飼ってみようと思う方もいるでしょう。おとなしい性格で、他の魚と混泳させやすい面もあります。ただ、飼育者目線で正直に書くと、ドジョウは「何もしなくても飼える魚」ではありません。

 

まず、潜る習性です。ドジョウは、危険を察知したときなどに水底の砂や泥に潜ることがあります。飼育下ではこの習性が裏目に出て、水槽に植えた水草をことごとくほじくり返されてしまうことがあります。底砂は潜れる細かさのものを選び、水草は流木や石に活着させるタイプにするなど、レイアウト側の工夫が要ります。

 

次に、水の汚れです。ドジョウは他の魚に比べて糞が多く、水を汚しやすいと言われています。よく食べ、よく出す。底の汚れがたまりやすいので、ろ過と水換えの手間は、見た目のおっとりした印象よりずっと多い魚です。

 

そして飛び出し対策です。体が細長く、水面まで上がってくる行動もあるため、水槽のフタの隙間は油断できません。混泳についても、泳ぐ層が重なるエビ類とは隠れ家を取り合ったり、ドジョウが小さなエビを食べてしまったりすることがあるため、相手選びには注意が要ります。

 

寿命も考えておきたい点です。水田域での寿命は1〜2年と考えられている一方で、飼育下では15年以上生きた例も知られています。「小さな魚だから短い付き合い」とは限りません。迎えるなら、長く付き合う前提で迎えてください。なお、まれにオレンジ一色の白変種がいて、ヒドジョウ(緋泥鰌)と呼ばれて観賞魚として流通しています。あの鮮やかな色も、ドジョウの一族です。

 

もう一つ、大事なことを書いておきます。ドジョウは環境省のレッドリスト2018で準絶滅危惧(NT)に掲載されています。外来のドジョウ類との交雑なども懸念されています。飼っている生き物を野外に放すことは、絶対にしないでください。観察するなら、その場所で観察して、その場所に帰す。それが水辺の生き物との付き合い方です。

【「ただし」の後まで読む力】

ここまで書いてきたドジョウの話で大事なのは、「ただし」の後まで読むことでした。腸呼吸ができる、ただし補助にすぎない。ひげがある、ただし本数を数えれば種類が見分けられる。身近な魚ほど、知っているつもりで半分しか知らないものです。

実は、勉強も同じです。「この問題集をやれば大丈夫」にも、「ただし」が付きます。ただし、自分の弱点に合っていれば。ただし、解き直しまでやれば。条件の部分を読み飛ばすと、努力しているのに結果がついてこない、ということになりがちです。逆に、条件まで正確に読めるようになると、やるべきことがはっきりしてきます。

第一ゼミナール(いちゼミ)は三鷹の塾です。いちゼミの完全1対1の個人指導では、1対2や1対3ではなく、指導時間のすべてを1人の生徒に向けるため、「その子にとっての『ただし』は何か」を一緒に確かめながら進めることができます。ドジョウのひげを1本ずつ数えるように、一人ひとりのつまずきを具体的に数えて、確かめていく。それが完全1対1の良さだと考えています。詳しくは、三鷹市の完全1対1個人指導のご案内をご覧ください。

「うちの子は、どこで止まっているのか分からない」という方は、まず体験から始めてみてください。個人指導の体験は60分2,200円(税込)で、2回まで受けられます。

過去の生き物紹介も、よければ合わせてお読みください。第3回は、ヒゲを黒くして気持ちを伝えるフトアゴヒゲトカゲの回、第2回は、まぶたのあるヤモリがなぜ壁を登れないのかを書いたヒョウモントカゲモドキ(レオパ)の回です。

次回の生き物紹介もお楽しみに。

定期テスト対策や学習の進め方でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

 

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